Part of it all 演出ノート

 ナカフラ、2年半ぶりの公演です。東京に限っては5年ぶりになります。さぼっていたわけではありませんが、私が鬱をわずらったり、複数のメンバーが育児に追われはじめたり、新型コロナがやってきたり、なかなかその機会が整いませんでした。その間、「めんどくせえし、疲れるから、芝居はもういいや…」と思った時期もあります。一方で、「最近、神の摂理や、人生における絶対的な定理に触れてねえなあ…」と、ナカフラのない日々に物足りなさを感じてもいました。つまり、メンバーとの創作は、神や定理の再発見だったのだなと認識しました。みんなと一緒に「新しい定理」を探したい。そう思いました。

 そこで、今回はある指針を立てました。それは、現状のメンバー全員が、 ①日常生活を維持しながら無理なく参加できる ②あるいは、積極的に不参加できる というものです。例えば、家事・育児のため、稽古を遅刻・早退しなければいけない場合、遠慮なくそうしていい。子供を稽古場へ連れてきてもいい。子供が騒ぐならば、その状況でできる稽古をやってみよう、と。体調が悪ければ、コロナが恐ければ、直前だろうが稽古を欠席していい。最悪、当日まで稽古に参加しなくてもいい。いきなり当日やってきても、それを受け入れられる本番を用意してみよう。「いっそ本番も来なくていいよ、それでもあなたはナカフラのメンバーだし、つまり創作者なんだ」そんな演劇ができないだろうか。そこに「新しい定理」のヒントが埋まってないだろうか。

 そういった条件のもと、現状では「原作の冒頭3-4頁分だけならば確実に上演できる」そんな結論に行き着きました。全編の1/12くらいです。これまでの自分なら、絶対に許せない状況ですが、「でも、なんつーか…それでよくねえか?」なんて思える現代(いま)を感じてもいます。よろしければ、是非、お立ち会いください。(中野 成樹)

一般社団法人なかふら/中野成樹+フランケンズ

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