『ランダム1・2』上演テキスト コメント
中野成樹+フランケンズ2026 演劇作品集『居場所・ドラマの基礎と応用(2プログラム)』にて公募させていただいた、1分間の上演テキスト。
応募いただいた中から、最終的に14名・16本のテキストを選出させていただきました。そして中野・福田のテキストを加えた計20本を、Aプログラム内『ランダム1』、Bプログラム内『ランダム2』にて上演いたします。
各テキスト作者のみなさまより、コメントをいただきました。上演をぜひお楽しみに!
Aプロ:『ランダム1』
秋村和希『正月』
実家に帰ると懐かしさや居心地の良さも相まって、今ここで亡くなってしまうのが一番良いのではと錯覚するほど、場所に引きずり込まれるような感覚に襲われます。東京に戻るとフッとそれが無くなって二度と帰りたくなくなるんですが、そういう事ありますか?
秋村和希▶︎ 1996年生まれ、広島県出身。音楽大学声楽科卒業(声種:バリトン)。映画美学校アクターズコース9期修了。オペラ歌手を志すも役者の道へ転向し上京、2020年より俳優として活動を開始。主な出演作に映画『僕らの存在を聴け』(白田悠太監督)、演劇『Oh so shake it!』(TeXi’s/2024年)など。現在SNSにて毎日一節の脚本を掲載中。
魚田まさや『大谷の』
上演作品に選んでいただきありがとうございます!フィクションの始まる愉快な感じと、居場所が時間と共に去っていく寂しい感じで行こうと心に留めて書きました。自分の作品が自分の作品でありつつ、一つの全く新しい作品の一部になってるというのはどういう感じだろう…と楽しみにしています!
魚田まさや▶︎ 劇作家。アーサー・ミラーや別役実の影響を受け、会話を主体としつつそこに悪夢や奇妙なイメージの立ち上がる戯曲を創作する。主な提供作品にuni「すみだ川ラジオ倶楽部 川を流れる七不思議編」(演出:阿部 健一 2022年)、イエデイヌ企画「エリカによろしく」(演出:福井歩 2023年)など。
鹿内 聡『外野』
小学生の時からずっと運動ができなすぎて、体育の授業で居場所があったことがありませんでした。
だから嫌だったなということを思い出して書いた戯曲です。よろしくお願いします!
鹿内 聡▶︎千葉県出身。
2022年、カレーカレーグループ 立ち上げ。
以降、すべての本公演の作・演出をつとめる。
はぎわら水雨子『1分を待ちながら』
この度は拙作の採択、誠にありがとうございます。
1分間の上演、そして「居場所」「ドラマの基礎、応用」…こんな空間や俳優の様子を見てみたいなあ、と遊び心を持ちつつ書きました。
他者に自分のテキストを演出していただくのは初めてなので、ナカフラの皆さまのイマジネーションで作品がどうなるのか、とてもわくわくしています!
はぎわら水雨子▶︎ 1993年生まれ。
武蔵野美術大学 基礎デザイン学科在学中に舞台活動を始める。
近年は俳優として様々な舞台に出演する傍ら、舞台専門の宣伝美術家としても活動。
主な出演団体に、Q(市原佐都子)、ヌトミック、ほろびて、PANCETTA 等。
2022年に個人演劇ユニット『食む派』を旗揚げ。 全作品の脚本・演出・宣伝美術を担当。
生活や暮らしの身近なモチーフを、コミック的不条理表現を用いて描き出す作風を特徴としている。
廣瀬 玲『海岸』
私は演劇を学ぶ大学をこの春卒業します。これからどうなるんだろう、何をしていこうと日々考えていた矢先にこのようなお話をいただけたこと、とても嬉しく思います。
この先どんな人生になろうと間違いなく過去の自分は居なくならないし辛い時に寄り添ってくれるだろうなと思い、この戯曲を書きました。
どのような1分間になるのか今からとても楽しみです。
廣瀬 玲▶︎桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻に入学。その後専攻科に進学し芸術分野 演劇(劇作)にて学士号を取得。在学中に『FRIEND』@座・高円寺1(振付・構成・演出 スズキ拓朗) 三男 役 等出演。また多くのチラシデザイン等の宣伝美術も手掛ける。
松井絵里『生活』
どうしても頭からくっついてはなれなかったことを、団子みたいにくるくるまるめて、塊にして、1分の球体ができました。風船なのか、卵なのか、石ころなのか、私もまだよくわかっていません。なので、これから、中野さんの演出や俳優の皆さんによって、どんな ○ に立ち上がるのか楽しみです。
松井絵里▶︎ 2001年生まれ。京都府出身のてんびん座。エッセイを書くのが好き。あと、黒ゴマとチャイとボタンが好き。多摩美を卒業してから、さるさるさる松井絵里に所属、ザジ・ズーに参加しています。劇作と演出を主にしながら、出演もします。人間たちに興味があり、離れたりくっついたり、一回離れて、その後うんうんと考える関係性の台本をよく書いています。
【HP】https://sarueri.com
三橋亮太『自然体』
お選びいただきまして大変嬉しく思います。2016年上演の『えんげきは今日もドラマをライブするvol.1』から10年も憧れ続けるナカフラに、自身のエッセンスが一部でも参加できるのはワクワクします。複数のドラマがどのように配置されて構築されるか面白いの分かってるんです。だから5月の上演までワクワクは鳴り止まないんです。
三橋亮太▶︎2018年 7月 『牛乳とハチミツ、ゆれて三日月を喰みる』が、第6回せんだい短編戯曲賞 最終候補作品に選出
2020年 2月 新津々浦駅・北口3番バスのりば』が、かながわ短編戯曲賞2020 最終候補作品に選出
2020年 3月 日本大学藝術学部演劇学科 劇作コース 卒業
2024年 3月 『ホームライナー新津々浦1号』の作・演出として、かながわパフォーミングアーツアワード2024 MVP賞を受賞。同年10月 『桃を朝にガプリ』が、第9回せんだい短編戯曲賞 大賞を受賞
山本真生『くつした』
太いマッキーペンで描いた戯曲みたいだと言われたことがあります。
そういった、タッチが違ういろんな戯曲が、空間に並ぶことで見える景色がたのしみです。
山本真生▶︎ 劇作家・演出家。
キルハトッテ/にもじ主宰。
団体では全作品で作・演出を担当。
今を生きる人々の感覚を、思いもよらない身近なモチーフや奇妙な設定に繋げ、複数のそれらをコラージュする作品が特徴。
Bプロ:『ランダム2』
綾門優季『応答、あるいは浴槽』
GeminiとAwarefyの2つのAIを駆使して執筆したはじめての戯曲です。AIの文章が約9割、わたしが書いた文章が約1割ですので、むしろどの部分を書いたのか、想像していただけますとありがたいです。ここまで誰も彼もがAIを使っているなんて、まるで未来みたいですが、まるで未来みたいな現実に、わたしたちは生きています。そしてもう、昔の世界には戻れないのです。
綾門優季▶︎ 1991年生まれ、富山県出身。劇作家。キュイ主宰。2011年、キュイを旗揚げ。
戯曲は「震災、テロ、無差別殺人など、突発的な天災・人災に翻弄される人々の様子を主なモチーフとすること」を特徴とする。
2013年、『止まらない子供たちが轢かれてゆく』で第1回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞。
2015年、『不眠普及』で第3回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞。
2019年、『蹂躙を蹂躙』で第10回せんがわ劇場演劇コンクールにて、劇作家賞を受賞。
小島淳之介『老人の家』(『Tong Poo』より)
以前に発表した作品の一場面を、気に入っていたため、今回提出しました。
当時の私の関心は、失われていくもの・ことを、自分の中でどのように受け入れるかということにありました。
この一場面は、ともすれば流れ去ってしまいそうな、ささやかなものですが、中野成樹+フランケンズのみなさんによって、どのように立ち現れるのかを楽しみにしています。
小島淳之介▶︎ 脚本家・演出家。
作品制作のほか、トーク企画や対話の場の企画なども行い、演劇が社会とどのように関係しうるのかを探る。制作やドラマトゥルクとしても活動。
近年の活動に、どらま館Labo『永遠幼稚園』ドラマトゥルク、STAy『GENIUS LOCI』脚本・演出など。
齊藤文也『種』
我々はニンゲンであると共に、ケモノであります。自然に帰ることもできますが、私はこの社会を四足で歩きます。
齊藤文也▶︎ 芸術文化観光専門職大学にて、戯曲執筆とラッパー活動を軸に創作を展開。2025年には平田オリザ作『もう風も吹かない』に俳優として出演。現在はfurry fandom に関心を抱き、「獣になりたい」という衝動をパフォーマンスへ昇華するべく研究中。自己表現の幅を広げ、多くの人と触れ合うことで魂のぶつかり稽古がしたいと考えている。
関口洋平『距離』、『weka(ウェカ)』(『距離』toki pona語訳)
選出していただき大変光栄です。mi pona!
募集作品の“言語”の項に、「日本語、または他の言語(上演は原語でトライします)」とあったので、リアルで25年間使用した日本語と、インターネットで5時間勉強したToki Ponaという言語を使い、ほぼ同じ内容のさっぱりした話を2つ書きました。上演、大変楽しみです。
関口洋平▶︎2000年生まれ。神奈川県横浜市出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。主に東京にて、劇作、演出、演技を軸とした創作活動を続けている。2022年から「ミニ胡麻うり」という演劇団体を主宰し、全公演の演出を担当。
田代さつき『改札ディスティニー』
決して特別なことではない誰しも体験したことのある経験。日々は「いつものこと」の繰り返しですが、「いつものこと」はいつまでも「いつものこと」であるとは限りません。日常が変化する時、そこに生きる面白味を感じれる人間でありたいなと思います。
田代さつき▶︎ 日本大学芸術学部演劇学科舞踊コース洋舞専攻卒業。同大学院修了。主宰を務める@Yudo-fuu(ゆどうふ)では、「日常にひそむ〈モヤモヤ〉に愉快に向き合い〈ワクワク〉をお届けすること」をモットーに活動中。
波田野淳紘『手遅れ』
中野さんの演出メモを読み、目からうろこがぽろりと落ちました。そうか、『リア王』も『桜の園』も『欲望という名の電車』もそうだ。シンプルで、明快な定義。本当は、「新たな居場所の実践」に向かいうる、胸を弾ませるような60秒を書きたかったのですが、何を書いてもそうなりませんでした。修行が足りません。
波田野淳紘▶︎劇作家、演出家。劇団820製作所(はにわせいさくしょ)主宰。
2023年より、中高生のための演劇WS「いかだ演劇部」を始動。横浜市内の中学校の演劇部で部活動指導員を務めるなど、演劇教育にも携わる。
はぎわら水雨子『みんなで寝てみる、できるだけ快適なかっこうで』
(コメント・プロフィールは上記『ランダム1』内の『1分を待ちながら』と同様です。)
【演出・中野よりコメント】
皆様の大切なテキストをお送りいただき、まことにありがとうございます。多数の作品を前に劇団員一同ずっとうれしい悲鳴をあげていました。
今回の大きな工夫どころは、おそらく「上演時間1分間」という箇所だったかと思います。応募作を試しに私が声を出して読んだところ、最短で10秒くらいのものから、15分くらいのものまで様々ありました。1分をほんの一息ととらえる方もいれば、実際の60秒ととらえる方もいる。一方で、1分間をお芝居の一場ととらえる方、無呼吸の限界ととらえる方、短編よりも短編であればいいのだろうという確信犯な方、などなど。いや、1分には沢山種類があるのだとあらためて気づかされました。それはつまり、人は秒を生きながらも、瞬間や永遠・延々、浮き沈みや歴史を同時に生きているのだと理解した時でもありました。結局、1分って1分じゃないんだな。でもあまりにも冷酷な60秒もあるのだな。どの作品も生き生きとしていてドキドキしました。
当初の予定より少なくなりましたが、「居場所」「ドラマの基礎」「ドラマの応用」がしなやかに描かれた16本を、劇団総出で選ばせていただきました。本番にご期待いただければ幸いです。
中野成樹+フランケンズ 主宰:中野成樹
※『ランダム1・2』選出後の編纂(Aプロ・Bプロ配置等)においては、渡邉結衣さんにご協力いただきました。
公演情報はコチラ